OVAL実験: レーザーとパルス磁場を用いた真空の複屈折の測定

量子電磁気学(QED)の予言では、真空は電子と陽電子のペアが常に生成と消滅を繰り返しています。この状態に外から非常に強い磁場を印加すると、真空が異方性を示し、磁場平行な方向と垂直な方向で屈折率が変わると予言されています。この真空の複屈折を世界で初めて観測するために、OVAL実験(Observing VAcuum with Laser)を進めています。

測定の概念図。共振器とパルス磁石を組み合わせる。

上図が測定装置の概念図です。偏光したレーザー光に対して15Tの磁石で磁場をかけ、新たな偏光成分が生じていないかを観測します。感度を高めるために、フィネスが600,000程度の共振器の中で光を往復させています。

実験装置の写真。

現在はプロトタイプの実験装置を使用して、感度を向上させているところです。実験の大きなキーポイントのひとつは、パルス磁石のノイズや振動がレーザー共振器に影響を与えないように実装する点です。電磁ノイズ対策や防振対策をすすめ、レーザーの安定性も高めることで、QEDの予言値まで3.5桁の感度まで迫っています。

発表資料